つくばへリポート、開港25年「無事故」

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常総水害の救助活動のため、つくばヘリポートに集結した県防災ヘリ「つくば」(左手前)と近隣都県のヘリ=2015年9月(県防災航空隊提供)

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救助活動に向かうため格納庫内で打ち合わせをする県防災航空隊と近隣都県の隊員たち=2015年9月(県防災航空隊提供)

 田んぼに囲まれ、いつもは静かな「つくばヘリポート」(つくば市上境)が騒然としたのは2015年9月のことだった。常総水害の救助活動で、県防災航空隊の防災ヘリコプター「つくば」と、近隣都県からの応援ヘリが集結。10日~12日の3日間、一日最多7機がつくばヘリポートを拠点に飛行し、計308人を救助した。1991年7月の開港から25年超。ヘリポートはいまも無事故を誇る。

常総水害時、救助活動の拠点に
 15年9月10日未明、つくばヘリポートの第1格納庫内に事務所が入る県防災航空隊は緊迫していた。

 鬼怒川の堤防決壊や越水などの情報が次々に入る。現場まで約15キロ、数分の距離。日の出(午前5時17分)とともに「つくば」は飛び立てる態勢だった。被害状況を上空から調べるためだ。同8時27分に離陸できたが、荒天でやむなく引き返した。同10時47分、天候が回復し救助活動を始めた。

 県防災航空隊は10日~12日に救助活動を展開。「つくば」は3日間で計15回、14時間5分飛行し、災害調査と救助に集中した。13日~16日は不明者の捜索と災害調査、17日~19日の災害調査で一連の活動を終えている。合計では10日間で29回飛行し、26時間10分の飛行実績だった。

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 近隣都県からも続々と救助活動のために応援ヘリが飛んできた。「緊急消防援助隊航空部隊」(緊援隊)だ。

 10日は山梨、埼玉、群馬各県の防災ヘリが1機ずつ、東京消防庁の消防ヘリが2機。11日と12日は千葉市消防局の消防ヘリも1機加わり、「つくば」を加え、3日間で延べ20機が救助に向けてフルに飛行した。

 つくばヘリポートには駐機スポットが大型機用と中型機用一つずつしかなく、ふだんは一日の着陸回数が3回程度。それが、このときばかりは駐機スポットに最多で5機がひしめくほどだった。

 10日82人、11日197人、12日29人、合計で308人。つくばヘリポートを拠点にした救助活動の成果だ。

 つくばヘリポートは使わないが、自衛隊、海上保安庁、警察など関係機関の航空部隊でも3日間で計1031人を救った。

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 救助活動には、いくつかの偶然が重なっていたという。

 県防災航空室の長岡敦室長、同航空隊の仲林幸一郎隊長の説明によると、航空隊員は隊長を含め9人、室長を入れても10人の規模。そんな限られた人員で苦慮しながらも救助の成果を出せたのは、理由があった。

 もともと15年11月、「緊援隊」の関東ブロック訓練が茨城県で開催が予定され、それに向けて事前訓練をしていた。県消防安全課には訓練事務局として消防職員6人が派遣されていて、常総水害では、早期に緊援隊消防応援活動調整本部を立ち上げる一端を担った。

 被災地の消防本部からの派遣職員もおり、現地とのやり取り、地理状況の把握に力が発揮された。

 9月10日の水害初日には、事前訓練のパイロット会議が予定されていたため、人員に若干の余裕があった。

 だが、「すべて偶然が重なり、当たり前にやれただけ。課題は山積みです」と仲林隊長は現実を厳しく見る。応援ヘリの受け入れに限界がある現状、第2基地の展開のあり方、応援部隊の後方支援などマンパワー不足をどう補うか、などだ。

年間着陸回数は平均1000回
 つくばヘリポートは1991年7月23日、県内初の公共用ヘリポートとして県が設置した。総面積3・1ヘクタール。指定管理者制度に基づき、2015年4月1日から日本空港コンサルタンツ・大成有楽不動産連合体が管理している。

 駐機スポットが二つしかなく狭小なこと、開港から25年経ち施設の老朽化が課題とされる。

 県空港対策課や企画経営室によると、用途は、災害時の情報収集や救急援助活動、報道・取材活動のほか一般向け遊覧飛行、航空写真撮影、操縦訓練、患者輸送、受託整備など幅広い。

 運用時間は午前7時~午後7時(日没が午後7時前のときは日没時刻まで)。利用できるヘリは全長26メートル以下で、最大離陸重量が9トン以下の機種に限定している。これまでの年間の着陸回数は平均1000回。

 格納庫は第1(2区画)、第2(3区画)とあり、賃貸契約で航空会社などが入居している。第1格納庫には県防災航空隊が入り、県防災ヘリ「つくば」が格納されている。

 「つくば」は機体全長13・03メートル、全幅3・119メートル、全高3・966メートル。最大速度は時速278キロ。水難救助や山岳救助、物資輸送、空中消火などで活躍する。
(米内隆)