大気汚染の実態把握へ 土浦のNPO、過敏症患者ら測定開始

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車から降りて屋外でイソシアネートの測定をする参加者=2日、土浦市内

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手のひらサイズの揮発性有機化合物測定器(右)と、スマートフォンに瞬時に表示された時間ごとの測定結果

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津谷裕子さん

 化学物質過敏症の患者や市民、科学者、医師らでつくるNPO「化学物質による大気汚染から健康を守る会」(茨城事務所=土浦市、津谷裕子所長)の呼び掛けで、市民による環境調査がスタートした。手の平サイズの連続測定器をいつも身に着け、日常のさまざまな場所から発生する揮発性有機化合物(VOC)を測る。併せて脈拍、血圧、血中酸素濃度を連続測定する装置を手の指などに取り付け、過敏症の原因となる空気汚染と体調の変化を調べる。

◆瞬時にスマホに表示

 2日、津谷さんの測定活動に同行した。津谷さんは手の平サイズの測定器を首にぶらさげている。同測定器では測ることができない、特に人体に有害なイソシアネートという物質を測る縦横約20センチ四方の測定器も用意した。2台とも同NPOが欧米から輸入した。

 土浦市と牛久市内の焼却施設、工場周辺と、住宅団地などを2時間ほどかけて車でぐるぐる回った。手の平サイズの測定器による測定結果は、津谷さんのスマートフォンに瞬時に数値が表示され、気温や湿度と共に、時間ごとの変化がグラフでも表示される。イソシアネートの測定では途中、車を停めて、屋外で一定時間測定する作業を繰り返した。

 この日は強風が吹き、測定には不向きな天候だったが、2台の測定器とも、畑地や住宅団地などに比べて焼却施設や工場周辺で濃度が高いという結果が出た。車内や住宅の室内濃度も意外に高かった。今後、血圧や脈拍などと併せて測定活動を何度も繰り返しデータを集めるという。

◆4台購入し3年で

 津谷さんは元産業技術総合研究所(つくば市)の研究者で、化学物質過敏症の患者でもある。VOCによる健康被害は従来、住宅建材などが原因のシックハウス症候群として知られてきた。しかしここ数年、発生源が急速に増え、化合物の種類が変わり家電製品、繊維、柔軟剤、農薬などからも強い毒性のある化合物が見いだされているという。

 欧米などでは規制されているが国内では法規制が十分でなく実態調査も行われていないため、原因が分からず体の具合が悪くなり同NPOに相談を寄せる人も多くなっているという。

 今回、米国に常時身に着けて空気汚染を連続測定できる装置があることを知り、助成金などを得て計4台を購入。参加者を募って、市民による測定活動をスタートさせた。3年がかりで調べる。

◆当事者が参加

 現在、土浦のほか守谷市、神奈川県川崎市、大阪市などで、過敏症の当事者が測定活動に参加している。医療福祉生協いばらき会員の班活動として測定に加わっている土浦市の西村はるみさんは「身の回りの発生源を探りたい。自分の体調が悪くなったときは、こういう発生源が身近にあるということが分かると、対処しやすくなるのではないか」と話し期待を寄せる。

 津谷代表は「空気汚染は市民一人ひとりが自分で環境を見守らなければ身を守れない。だれでも測定できるので、体の異変を感じたり、具合が悪くなる状況を知ることにつながれば」とし「データをたくさんとって、国などに対応を求めたい」と話す。
(鈴木宏子)