筑波大付属病院、筋弛緩剤紛失 盗難か

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筋弛緩剤の紛失について謝罪する松村明病院長(右から2人目)ら=つくば市天久保の筑波大学付属病院

 筑波大学付属病院(つくば市天久保)は23日、手術時に麻酔をかける際に使う筋弛緩(しかん)剤2本を紛失したと発表した。成人6人分の致死量に相当する。同病院は盗難の可能性もあるとして、22日につくば中央署などに届け出たという。

毒物指定、6人分の致死量
 同病院によると、紛失したのは「エスラックス50ミリグラム」と呼ばれる筋弛緩剤で、毒物に指定されている。

 13日午前9時30分ころ、手術部を担当する薬剤師が土日曜日を含む10日から12日までの3日間に発行された薬剤の使用連絡票を集計。その結果、保管庫から取り出された薬剤は106本。使用された薬剤が60本、未使用の薬剤が46本と記載されていたが、実際には未使用の薬剤が2本少ないことが判明したという。

 筋弛緩剤は同病院の管理規則に従い、手術部内にある薬局の保管庫に施錠して保管されていた。手術部と薬局のスペースに入る際には勝手に入れず、それぞれ種類の違うICカードが必要だという。

 また、薬剤の取り出しの際は、手術の症例ごとに、担当する麻酔科医と薬剤師が互いにチェックし、薬剤師が出勤してない平日の午後5時以降や土日は、当直の麻酔科医らが互いにチェックする体制を取り、保管庫の鍵は薬剤師もしくは当直責任者が所持していたという。

 紛失を受け、同病院は麻酔科医と薬剤部を調査し、問題の期間の連絡票と手術症例の麻酔記録を照合。また、薬剤師がいない時間帯に薬剤の返却処理に関わった麻酔科医14人からもヒアリングしたが、連絡票の記載内容と異なる点は見られなかったという。

 同病院は緊急時の使用や未使用のまま廃棄した可能性もあるとして、院内関係施設や針・アンプルを廃棄する容器、院外で処理する感染性廃棄物なども対象に捜したが発見できず、22日につくば中央署、つくば保健所、関東信越厚生局に届け出たという。

 記者団の質問に対し、同病院の集中治療室で2015年3月にも同弛緩剤1本が紛失していたことが明らかにされた。当時警察には届け出たが、公表はしなかったという。

 23日の会見で、松村明病院長は「患者さんをはじめ、地域のみなさまにご心配をおかけして大変申し訳ない」と謝罪し、関係当局の捜査・調査に協力するとした。

 また、毒物の取り出しや管理の自動化システムの導入なども検討し、再発防止に努めるとした。
(山本成将)